幼いころからの変わらない気持ち
社長に憧れを持っていたのは小さいころからですね。父は地元企業の経営者だったのですが、外車に乗って友達がたくさんいて・・・。いわゆる『社長然』とした生き方を子どもながらカッコいいと思っていました。ただ、私は長男ではなかったので父の家業を継いで社長になれるわけではないと、中学生の時に気づきました。その時に、このまま家業の社長になれないなら、いつか自分で会社を作って社長になってやると決心しましたね。それからは「社長になるにはどうすればいいのか」ということばかりを考えていました。中学生の時にゴルフを始めたのもいつか社長になった時のことを考えてのことでしたし、英語に力を入れて勉強していたのもいつか自分の事業で使うと予想していたからでした。
きっかけはカナダ留学
語学と国際感覚を身につけるため、カナダへの留学を決意。現地で知り合った友人たちの自立した考えにも刺激を受けましたね。その留学中に日本にいる父が倒れたことをきっかけに、「自分で何かをやろう」という気持ちが強くなりました。その時に目をつけたのがカナダで売られていた革製ジャンパーでした。現地の工場と交渉をして、セミオーダー事業を開始したところ、結果は大好評。そのままカナダで会社を起こすことも考えたのですが、「このまま事業を起こしても、成功しない」と思い、一度日本へ帰国しました。
経営を一から勉強するため、商社へ就職
経営を一から学ぼうと商社に入社しました。入社した時には、3年後には会社を辞めて自分で会社を作ろうと考えていました。社長を目指して入社したので、周りとは仲良くしていませんでしたね。また、サラリーマン社会の理不尽さも体験できました。だからこそ「やりがい、プライド、良い報酬、そして信頼」を感じてもらうことが大切だと考え、弊社の企業理念に盛り込みました。結果的には2年半後に独立をし、ファッションブランドの輸入ビジネスを始めました。懸命に育て上げたとしても売れると変貌してしまう海外ブランド、容赦ない大手商社の介入・・・。このまま続けるわけにはいかないと思い、自社ブランドを設立する決意をしました。
サマンサタバサ、成功の秘訣
デザイン・生産・出荷・販売を一貫して自社管理をする業務形態への転換を決意し、1994年に自分のブランドを立ち上げました。これが『サマンサタバサジャパンリミテッド』です。設立当初から私がブランドを成功させるために大切にしていることは「人」「場所」「商品」「宣伝」、この4つの組み合わせです。一般的に、この4つの中でどれか3つを満たしてしまうと残りの1つを取りに行く努力を怠ってしまいます。それを諦めることなく、そのキーワードを心に留めるように私もしていますし、社員にも日々伝えています。そして、自分が作ったMADE IN JAPANのブランドで、世界中の人に喜びを与えたい。それが設立当初からの私の夢なんです。